2012 年度学校建設事業 トゥム・レーン小学校

着工報告

概況

学校状況は著しく変化しています。まず、暫定的な教室として使用されていた木造校舎は2011年10月に解体され、その教室で勉強していた生徒たちは、以前の図書館と職員室に移動し、その後、既存の校舎裏にある2011年11月に国連世界食糧計画(WFP)の支援で建てられた調理室に移動し勉強をしていました。次に、東側にあった教室の1つは、新校舎建設中、建設資材の保管場所として使用されています。また、2012年3月から、Room to Read (NGO)が図書館建設を支援することになり、現在建設中です。
現在、2つの建設工事が同時進行中のため、工事の騒音により、授業に支障が出ることが時々あります。また学校敷地内には多くの建設資機材が置かれ、そのため休み時間に生徒たちが自由に遊べるスペースが少なっており、教室内や廊下で遊ぶ生徒たちもいます。
建設工事は、豪雨によって道路状況が悪化する雨季に入ってからも続行されていますが、この時期(雨季)は建設資機材を運ぶのにも困難を要します。

建設活動

2012年4月24日に着工しました。資材の到着が若干遅れたにも関わらず、建設工事が計画通り順調に進捗しているのは、建設会社の熟練作業員1名とトゥム・レーン村の6名の男性、4名の女性を含む計11名の熱心な作業によるものです。

新校舎建設

校舎建設の進捗状況は、以下の通りです。

≪完了作業≫

• 柱や梁設置のための穴を掘る作業
• 足場と土台の梁をコンクリートで固める作業
• 柱のコンクリート固めの作業
• 基礎部分への土盛り作業(地域住民、生徒たちや教員たちで作業を行った)

≪継続作業≫

• 壁にレンガを積み、ドア、窓枠、換気口を取り付ける作業

トイレ建設

トイレは新校舎の裏の東側に建設される予定です。現在、掘削作業が始まり、基礎工事の準備をしています。

ポンプ式井戸

ポンプ式井戸は校舎の近くに建設を予定しました。

※(追記)
2012年7月、調子の悪かった既存の井戸が修理されて使用可能となったため、新たに井戸を設置するよりも、貯水タンクを設置した方が便利であるため変更してほしいとの要望を学校側(学校支援委員会)から受けました。学校側、建設会社、当会と話し合いが持たれ、学校にとっての利便性や確実な水の確保という点からも、貯水タンク設置へ変更した方がよいとの結論に至りました。建設会社に対しても、貯水タンク設置費用は井戸設置費用と同額であることを確認しています。貯水タンクは、校舎などの建物の近くに設置され、建物の雨どいをつたって雨水をためる仕組みになっています。貯水タンクの水は、校内清掃、トイレ清掃、草木の水やり、飲み水などに使用される予定で、学校の衛生環境の改善が期待できます。

地域住民の参加

本事業では契約に基づき、地域住民が次の作業を担います。

• 3教室と4室のトイレ、ポンプ式井戸の建設に適切な土地を用意すること
• 建設作業に必要な道具を用意し、作業員の安全を確保すること
• 新校舎の基礎部分への土盛りを行うこと:

建設には2.5㎥トラック60台分の土盛り用の土が必要で、この調査のための学校訪問日には、トラック30台分の土が搬入されているのを確認しました。教員、学生、地域住民が恊働で、2日間かけて建設現場に土を運んでいます。トラック1台分の土の費用は12,000リエル(約3ドル)です。土盛りにかかる総経費は、地域住民が責任をもって調達することになります。村での募金活動は、クメール正月の時期(2012年は4月13日-16日)に村長によって行われました。この時期には、タイや、国境沿いに出稼ぎに行っている村人たちが帰省するためです。募金額は1人あたり5,000-10,000リエル(約100-200円)で、各家庭の経済事情により異なります。本来、学校建設の募金は、通学対象村となっているトゥム・レーン村とコーク・トゥノッ村の両村から募るべきですが、コーク・トゥノッ村の責任感が弱いため、トゥム・レーン村からだけ寄付を募ることとなりました。寄付を募ることは、容易いことではありません。募金額が少ない場合は、その家の経済事情によるところが大きいのか、それとも地域住民の教育への理解が深まっていないのかなど要因を考え、その上で同じ家に2-3度通い寄付を募ることもありました。村長は、村人たちに教育の重要性を説明し、募金活動を行ってきました。

生徒たちの声

オエウン・バランくん(11歳、6年生)

ぼくは、勉強が大好きで、テストでもよい成績をとりました。ぼくの家は、学校から自転車で10分ぐらい離れたところにあります。両親は農業を営んでいます。そして、ぼくには2人の兄弟がいます。その内1人は同じ学校の2年生に通い、勉強しています。ぼくは、先生たちや同級生らと一緒に土盛り作業に参加しました。来年、中学校に進級するので、新しい校舎で勉強できないと思うと、残念で仕方ないけれど、これから学校がどんどん開発され良くなり、他の生徒たちが新校舎で勉強を楽しんでくれれば、ぼくはとても嬉しいです。最後に、ご支援者の皆さまのあたたかい支援とスタッフの皆様の協力に感謝しています。

ヒン・サリンさん(14歳、6年生)

私の両親は、農業を営んでいます。4人兄弟で、私は長女で、妹が1人、弟が2人います。弟の1人は同じ学校の2年生で勉強しています。私は、友だちと一緒に自転車で15分かけて通学しています。私は、新校舎の土盛り作業に参加しました。とても感動的な作業でした。旧校舎で授業を受けるのは、少し大変ですが、それでも勉強は大好きです。来年には卒業をしてしまうので、新しい校舎で勉強できないことは残念だけど、他の生徒たちが新教室で快適に授業を受けられれば、いいなと思います。
最後になりましたが、ご支援者の皆さまのあたたかい協力に感謝するとともに、皆さまのご健康とお幸せを心より願っています。

【トゥム・レーン小学校 建設状況の写真報告】
(2012年5月22日撮影)

 

所在地

トゥム・レーン小学校