2017年度学校建設事業 アフガニスタン学校建設事業 
シャムス・タブリズ小学校

完了報告書

2018年5月18日

事業名称

事業名:

アフガニスタン学校建設事業

協力団体:

アフガニスタン国教育省、カブール市教育局

ご支援者名:

123Server株式会社 様

ご支援金額:

500,000 円

事業概要:

①鉄筋コンクリート構造校舎1階建て1棟、6教室および2室(図書室、教員室)、水洗トイレの建設(5部屋、うち1部屋は身体障がい児用)
②学校備品(教員用および児童用机、椅子、書類棚)の供与
③施設維持管理に関するワークショップの実施

事業実施機関:

公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会
〒160-0015 東京都新宿区大京町31 慈母会館2/3F
Tel: 03-5360-1233 / Fax: 03-5360-1220

対象地域:

カブール州カブール市ゾーン 12、シャムス・タブリズ小学校

事業期間:

2016年1月~2017年4月

事業責任者:

公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)
事務局長 関 尚士/アフガニスタン事務所長 山本 英里(東京より遠隔運営)/事務所長代行 ワヒド・アフマド・ザマニ/事業担当 浅木 麻梨耶

事業報告

支援内容:

①鉄筋コンクリート構造校舎1階建て1棟、6教室および2室(図書室、教員室)、水洗トイレの 建設(5部屋、うち1部屋は身体障がい児用)
②学校備品(教員用および児童用机、椅子、書類棚)の供与
③施設維持管理に関するワークショップの実施

裨益者数:

491 名の小学生児童(男子 225 名、女子 266 名)、24 名の小学生教員(男性 5 名、女性 19 名)

実施の過程:

校舎建設工事は2017年4月に着工しました。当初は、建設工事が安全に滞りなく進み、完成に至るよう祈祷式を着工時に実施予定でしたが、治安の悪化により、関係行政、住民と合意の下、式を中止せざるを得ませんでした。その後、すべての工程を予定通り完了し、備品の供与(児童用机いす、教員用机いす及び本棚等)を行いました。そして、2017年12月17日に竣工式を行いました。その後、教員を対象とした校舎の維持・管理研修会を2017年12月25日に実施し、事業は完了しました。カブール市内の学校では長期休暇に入るため、校舎の使用が開始されたのは3月末の新学期からです。
建設工事の工程は以下の通りです。

校舎建設工程
①建設用地の整地、基礎石設置/②基礎部分の石積み作業(1)/③鉄筋コンクリート作業/④1階のレンガ積み/⑤基礎支柱設置/⑥鉄筋コンクリート作業(2)/⑦1階の天井設置/⑧1階の扉・窓の設置(50%)/⑨1階の漆喰作業/⑩床設置/⑪塗装

建設工事の実施にあたって、専門性を要する建設作業は業者に委託するものの、基本的には当会が、資材調達ならびに施工管理を行いました。建設前には地域住民に建設仕様や過程について説明を行い、合意を得て着工する運びとなりました。また地域住民が一部の建設資材や労働力を提供、治安の管理、資材の盗難防止に努めるなど、住民の参加や協力を得ながら建設を進めることが出来ました。
事業運営に関しては、所長を東京事務所に配置し、遠隔監理によって事業管理を行いました。アフガニスタン事務所では、現地事務所副所長1人、学校建設担当職員3人が本事業の実施にあたりました。

現地竣工式の様子:

竣工式は2017年12月17日に、カブール市教育局、校長、教員、児童、地域住民と当会のスタッフの参加のもと行われました。コーランの朗読から始まり、生徒によるタラナ(詩の朗詠)が披露されました。カブール市教育局長のサイード・マンソール氏は、参加者を歓迎し、日本の支援者やシャンティのスタッフ、事業に参加した人たちに対して感謝の意を述べました。また、「地域住民、教員、児童の皆さんは、力を合わせてこの学校を自分たちの家のように大切に維持管理をしてください。」と参加者にメッセージを送りました。
当会アフガニスタン事務所所長代行のワヒド・ザマーニは、ご支援をいただいた日本のご支援者方々について紹介し、次のように述べました。「この新しい校舎の完成を迎えることができ、とても嬉しいです。この新校舎が完成したことでこれまで児童たちが直面していた様々な問題も改善され、子どもたちの通学の意欲、学びの質も高まるでしょう。」
以前の校舎の状況をよく知る住民組織の代表のミラウィス・オヤキル氏は、校舎が出来たことで、より多くの子どもが学ぶ機会を得られることに喜びを伝えました。式の最後に、地域住民と教師によって用意された記念品と感謝状がご来賓に配られました。

事業の効果:

①学習環境の改善
シャムス・タブリズ校はカブール市内のゾーン12にあり、市の中心部から車で約30分の場所にあります。2015年に開校され、学校の敷地はカブール市教育局により提供されました。校舎やトイレはなく、井戸のみが住民によって2016年に整備されました。1年生から6年生までが在籍する共学の小学校です。教室不足のため2部制を採用しています。他の支援者からの校舎建設の支援の計画はなく、また近隣の学校においても校舎建設支援の予定はありませんでした。
下記の表は事業の効果を示しています。校舎建設以前は、多くの児童がカブール市教育局から提供された借家で学習しており、一部の児童は屋外での学習を強いられていました。現在、安全で快適な教室で学ぶことができる小学生児童数は、451人に増加しています。一方で、まだ1クラス40人が屋外で学習をしています。

②就学児童数の増加
上記の表が示すように小学生児童数は415人から491人(男子225人、女子266人)に、76人増加しました。その要因としては校舎が建設されることによって、親および子どもの就学意欲が高まり、未就学だった児童が学校に来るようになったこと、他校の子どもが本校に来るようになったことなどが考えられます。これはアフガニスタンには日本のような学区制度がないためです。
さらに、男子児童数の増加が5人だったことに比べて、女子児童数の増加は71人でした。このことから、女子児童が学習機会を得るためには、安全に学べる環境の有無が大きく影響していると考えられます。

教員・児童からのメッセージ:
校長先生

私は、マヨウ・ディーンと申します。シャムス・タブリズ校の校長です。新しい校舎が完成するまでは、多くの児童が屋外あるいは、椅子や机のない借家で勉強していました。今、彼らが勉強できる環境が整い、そして素晴らしい図書室が出来たことをとても嬉しく思っています。児童は、様々なお話を読んでいますし、図書館を利用したがる子どもたちは日に日に増えています。
この度は、アフガニスタンの子どもたちに関心を寄せてくださいまして、そしてこの素晴らしい校舎建設にご支援くださりまして、誠にありがとうございました。

 
児童

僕の名前はモハンマドです。シャムス・タブリズ校の3年生です。今、この新しい校舎のなかで机と椅子を使って勉強できることがとても嬉しく思います。また面白い本がたくさんある図書室があり幸せです。僕は将来、医者になって地域の人々を助けたいと思っています。そのために、今勉強を頑張りたいと思います。このような校舎を作ってくださった日本のみなさん、ありがとうございます。もっと多くの友人が一緒に勉強できるように、2階の建設も希望しています。

 
児童

私の名前はファリシタです。この学校の3年生です。この校舎ができる前は、勉強を続けるのが難しく様々な問題に囲まれていました。屋外で勉強するときには、雨や高い気温が私たちの学習を邪魔していました。新しい校舎が出来たことで、私たちは安全に勉強することができています。私は、引き続き勉強を続けて将来エンジニアになりたいと思います。シャムスタブリズ校の全児童が、日本の皆さまへ感謝しています。どうもありがとうございました。

所在地

シャムス ・タブリズ小学校