2013-2014年度の学校運営状況は昨年度とほぼ同じで7クラス、教員は7人(うち女性教員3人)、授業は午前と午後の二分制で1ヵ月ごとに交代しています。校舎建設事業が完了したのちに十分な教室数が確保されていますが、左のグラフより、全校児童数は少し減少傾向にあることがわかります。村に住んでいる女性教員(コーイ・バロンケテレイさん)の話によると、村の多くの家庭は貧しく、子どもたちを学校に行かせられない親がいるとのことでした。さらに詳しく聞くと、大きく二つ、子どもたちが入学できない理由がわかりました。一つめは、子どもたちが外で働く両親の代わりに家で小さい弟や妹の面倒をみなければならないこと、二つめは、子どもたち自身が商売のためにコオロギやバッタを捕まえに森へ行かなければならないことです。それらの虫は1キロ当たり約0.5~0.75USドルで売られます。
学校統計によると、3年生と6年生で留年者率が高くなっています。留年する生徒はきちんと学校に出席することができないために学習が身に付かず、進級することができないという状況です。コーイ・バロンケテレイ先生によると、3年生ぐらいの生徒は一般的に両親と一緒にサンダンという場所へ2、3ヵ月農業を手伝いに行くそうです。サンダンというのは、人々によく知られた農園で、コンポントム州のチュラ・マ村から50km離れたところにあり、多くの人が働きに出かける場所です。子どもたちはそこで商売のために、収穫後の稲の束を集める仕事をします。そして、収穫時期が終わると彼らはまた学校に戻ってきます。他には、学校を休んで森へ行き、商売用の虫を捕りに行く子もいます。一方、6年生ぐらいになると、体もしっかりしてきて立派な働き手として両親からみなされるため、学校を休み、家庭経済を手助けするために農園へ働きに行きます。サンダンで、イモ類の植物の収集の仕事を任されるそうです。
さらに、留年者率が13.38%と高い一方で退学者率が0%である理由は、試験システムと出席率の低さによって進級が制限されていることにあるようです。そうすることによって、教育の質を高めることができるように教員たちは奨励されています。
チュラ・マ小学校は7クラスあり、午前と午後の二分制(1ヵ月ごとの交代)で、運営されています。およそ42%の児童が新校舎で学習をしています。基本的に、教師と生徒たちによって教室内外の維持管理が行なわれています。教師たちは10月末から週ごとの掃除当番表を作り、その当番表に従って生徒たちは教室内外だけでなく、校庭の清掃活動も行っています。掃除道具は各クラスにあります。教室の装飾は教師と生徒が協力して行いました。壁には学校予算で購入した絵が飾られています。
トイレの状態は良好で、必要な水も十分にあります。雨期にはプラスチック製タンクとポンプ式井戸の両方を使用しますが、乾期にはポンプ式井戸を使ってトイレの水を供給しています。教師たちは当番表を作って、トイレ掃除と水の供給の仕事を生徒たちに割り振っています。トイレ用の掃除道具は各教室にそろっています。
ポンプ式井戸はここ2年間、適切に使用されてきました。井戸の一番先のほうにある管にまでつながるポンプの頭部に異常が生じたため、学校予算を使って修理されましたが、残念なことに同じ問題が最近もまた発生したため学校側は少し困っているようでした。しかし、チュラ・マ小学校はワールド・ビジョンによってタンクと井戸を支援されました。さらに、プラン(貧しい子どもたちの教育や健康をサポートするNGO)の支援により、井戸のポンプの頭部が新たに導入されたため、生徒たちは簡単に水にアクセスできるようになりました。
– 教育省の要請により、毎月、毎学期ごとに試験が行われています。視察を行なった時に、テストの結果が教室内の壁に掲示されていることを確認しました。これによって、学校は生徒たちの学習状況を把握することができます。
– 以前は図書館前のベランダが教室として使用されていましたが、今年度より州教育局の要請でその使用が中止されました。
– 学校とコミュニティは子どもたちが学校へ入学できるよう協力しており、親たちに入学を推奨する告知したり、1年に二度の集会を行なったりしています。
– 木を植えるためのスペースを確保して庭を造るために、プラスチック貯水タンクは元の位置より10mほど北へ移動されました。
– ワールド・ビジョンの事業により、国旗掲揚台の前に12匹の動物の像が作られました。
– ワールド・ビジョンの寄付金で2013年に2か所の見晴らし台が建設され、椅子8台と机2台が設置されました。
私はこの村に住んでおり、チュラ・マ小学校で8年以上教えている教員です。1、2年生を担当しています。新校舎が建設される前は、きちんとした教室がなく、教員が使用できる教材も十分にありませんでした。子どもたちは図書館前のベランダで学習しなければならず、きちんと出席できない子どももたくさんいました。
事業が完了した後、学校経営は明らかに変化しました。子どもたちは図書館前での授業ではなく、新しくきれいな学校の教室で勉強することができるようになり、とても楽しんでいるように見えます。出席率の低さの問題は、今もなお続いています。午後の部の児童たちは学校を休み、両親を手伝って牛を田んぼへ連れて行ってしまうことが多いです。一方、新しい校舎ができてから、教室の掃除や装飾をするようになり、子どもたちの衛生管理に対する意識が高まったように感じます。 最後に、私たちの村のために新しい学校校舎と、その他の有益な備品等をご支援くださった皆様に心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。皆様のこれからの人生のご多幸をお祈りいたします。
私は、マン・ラーン (MANN Larn)、10歳です。新しい校舎の5年生の教室で勉強しています。私のお父さんは漁師としてタイへ働きに行っていて、お母さんは村で小さなビジネスをしています。家は学校の近くにあり、両親のサポートの下で、幼い弟と一緒に生活をしています。
今年から新しい校舎で勉強していますが、この新しくてきれいな教室と、快適な椅子に座って勉強できることはとても幸せです。先生たちも私たち生徒のことを気にかけ、責任もって授業をしてくれていると思います。私は、以前より勉強に興味をもち、きちんと出席できるようになりました。その結果として成績も明らかに良くなりました。
将来は、医者になって病気やけがで困っている人々、特にこの村の人々を助けてあげたいです。そうすれば、みんなが喜んでくれると思うし、私のことを応援してくれると思います。最後に、私たちの村を支援してくださった皆様、本当にありがとうございました。皆様のご多幸、ご健康をお祈りしています。
学校校舎、教室備品、トイレは2年以上使用されているにも関わらず、どれも良い状態が保たれており、学校全体としてとても有益なものとなっていました。ポンプ式井戸には問題点もありました。そのため、建設技術スタッフはその改善に向けてどれぐらい私たちが貢献できるのかを調べる予定です。教員と生徒たちが学校の装飾や維持管理に協力しているため、学校環境と衛生状態は良くなっています。生徒たちは新しい校舎がとても気に入っています。また、衛生管理に対する意識や態度は学校だけでなく、家でも良くなっていることがわかりました。
今年度の学校運営状況は前年度とあまり変化がありませんでしたが、留年者率が増加しているという問題が明らかになりました。家庭の経済状況や、両親の教育への関心の低さが主な原因のようです。この問題を解決するために、学校とコミュニティは協力して各家庭に呼びかけたり、年2回親を呼んで集会を開いたりしています。また、4~6年生の子どもがいる貧しい家庭を対象に、彼らが学校に通うことができるよう、ワールド・ビジョンから月10kgの米が支給されています。
チュラ・マ小学校