学校運営は、午前の部に関しては昨年と概ね同じです。5つのクラスは3人の男性教員たちが実施しています。そのため、2年生と4年生を複数学級制で担当し、4年生と5年生も複数学級制で担当することで、教室数とクラス数をこの3人で平等に使用及び担当できるようにしています。
学校運営に関して注目に値する変化がいくつか見られます。2010-2011年度と2011-2012年度の3つの流動率を比較すると以下の違いがみられます。
-進学率:約11%減少しました(71.74%-82.64%)
-留年率:1%増加しました(15.94%-14.88%)
-退学率:9.84%増加しました(12.32%-2.48%)
2011-2012年度の高い退学率が、次年度の生徒の全体人数の減少の主な理由です。これが、2012-2013年度の生徒数が昨年度と比べ138人から108人に減少した(21.74%減)理由です。
この村のほとんどの大人たちは、主に仕事を求めてコンポントム州の田舎町からコンポンチャム州に行っています。一方、村の中では、大切な収入源になるキャッサバ栽培のために森林を整備しています。一般的にキャッサバを植えたり、世話をしたり、収穫することは、多くの労働力が必要です。そのため、キャッサバオーナーは、こういった仕事ができるのなら、年齢に関わらずどんな人も雇っていかなくてはなりません。こうした労働状況と貧しい家族環境から、生徒の親たちは、特に収穫時期に、子どもたちの力を必要とします。こうした現象は、この村でよく見られます。そして、生徒たちが授業を休んでしまうほど留年率や退学率が上がってしまうのです。
3名の教員が、学校から11-15km離れたところに住んでいます。彼らは、個人のバイクを使って通勤していますが、ガソリン代は彼らの給料から出しています。大まかに見積ると、彼らがバイクで毎日通勤しているとすると、月に25-30USドル使っていることになります。しかしながら、NGO Education Partnershipが2012年に行った教員の報奨金調査によると、小学校教員は資格、教員経験、労働時間に応じて30-60USドルの幅が見られました。通勤代と給料を比べると、もし彼らが教員給料にほとんど頼っているとしたら、毎月生活していくことが非常に大変であることがわかります。さらに、雨季ではコキ小学校への道路状況が悪化して通勤が困難になります。そして、通勤代と劣悪な道路状況が、教員のモチベーションの高さに関わらず、彼らの出勤を制限してしまいます。
以前、試験システムはあまり厳格ではありませんでした。多くの場合、生徒たちは、もし試験に失敗してしまっても出席や教員の同情的譲歩で簡単に進級していました。しかし今年度では、教員は試験や出席システムを制限することによって教育の質について考えようとしています。
校舎:学校を運営していく上で重要なのが校舎です。校舎は、月曜日から土曜日まで午前の部のみ使用されています。時々校長は何らかの理由によって帰宅できない時は学校に泊まったりすることもあり、雨季にはこのようなことが多くなります。
毎年、教員と生徒たちは協力して古い飾りを取って新しいものを壁に付け替えています。この飾り付けは、見た目のためだけではなく、役立つ知識や情報の共有の意味もあります。例えば、環境問題の喚起や、良いコミュニティ参加、危険な状況での基本的な対応策、生徒たちが授業を思い出しやすくなる写真や絵が飾られています。
授業がある日は毎日生徒と教員が使用することができます。学校には、トイレを快適に使用するための掃除用具も十分にあります。トイレ用水槽が貯水タンクや屋根から水を溜められる貯水システムのおかげで、雨季にはトイレのための給水に関する心配がありません。しかし、乾季には、基本的に井戸(学校見取り図:E)からの水に頼るしかありませんが、子どもたちには井戸を使用することが難しいようです。
さらに、校長はトイレの使用について懸念を示しています。何故なら、ほとんどの子どもたちの自宅にはトイレがないため、教員が時々、特にまだ幼い生徒に、フォローアップをしなければならないからです。
状態は良好で、乾季である今は特に役に立っています。タンク内の水量は、視察した時はあまり多くありませんでしたが、この貯水タンクが、飲料水の貯水所として唯一頼れるものであることから、学校は時折良い水を地元業者やお店から購入してタンクに溜めています。この水は数ヵ月は飲料水としてもちます。
-学校には事務所がないものの、教材、資料、文房具は安全に保管されています。
-教員が授業を欠席した場合は、通常は他の教員が、生徒を帰宅させる代わりにいくつか課題を出すか、生徒同士で教え合わせるという方法を採ります。
-2012年、ワールド・ビジョンは2つのブランコセットと、ベンチ、展望台を校庭に設置しました。
-すべての木々は適切に手入れがされています。
-スクールマスタープランに沿って、学校は校舎から校門までの間に道を建設しました。
私は、チョホエング・モーン(CHHOEUNG Morn)14歳で、今5年生で勉強しています。両親は、キャッサバ農場で働いており、7人の子ども(内女子4人)を育てています。今私には2人の妹がいて私と同じ学校で4年生として勉強しています。また、私たち3人は同じ教室(4、5年生複数学級制システムにより)で勉強しています。私たちは自宅から約2.5km離れた学校までいつも30分間一緒に歩いて登校しています。私は新校舎ができてから通学するのがとても楽しくなったし、教室も大きくて心地よい温度が保たれています。
私は学校が終わると、いつも両親の手伝いをします。週末には、特に収穫時期には、しばしば畑に行きます。家にいる時は、食事の準備や洗濯、妹の世話をしています。
将来は、高校を卒業して母がしている医師の仕事がしたいです。最後に、ご支援いただきありがとうございました。ご支援者の皆様とご家族のご幸運とご多幸とご健康をお祈りしています。
僕はコン・ホン(KHON Hon)13歳で、今5年生で勉強しています。両親は、米とキャッサバを育てています。僕は長男として生まれ、弟と妹は1年生として勉強しています。僕の家は学校からそこまで離れておらず、10分くらい歩くと到着します。
両親は畑で多くの仕事をしていますが、僕は手伝うように言われることはほとんどありません。それは僕が授業に出席することを願っているからです。僕は両親をがっかりさせないように、新校舎が完成してからはもっと授業に出席していますし、友達と一緒に学校の備品や学校環境を維持するために努力しています。
僕の将来の夢は、高校を卒業して教員になることです。最後に、ご支援者の皆様にはとても感謝しております。皆様のご健康とご多幸をお祈りしています。
ご支援いただいた全てのものは良い状態で保たれ、有効に活用されています。壁や机のない木造シェルターから、第二の家のような新校舎で勉強できていることに生徒たちは喜んでいます。教員も、職場としての新校舎に満足しています。また、教員と生徒は協力して、校舎、トイレ、貯水タンクなど学校環境全体の維持に取り組んでいます。
学校環境においては、目に見える改善がありましたが、教育に関してはネガティブな点もまだあります。教員と生徒、そしてあまり教育を受けていない多くの親の生活環境が、教育を通じてどのように良い未来を築いていくかということよりも、日々の生活をどう過ごしていくのかということの方に彼らの意識を集中させてしまうようです。
しかしながら、多くの方々からいただいたご支援は、ここの生徒、教員、生徒の親にとってはとても貴重なものであります。安全で快適な校舎によって地域住民の心配は減り、彼らは仕事について考えられる時間が前より増えました。安全な校舎や良い学校環境がなければ、村や教育の状況を変えることは期待できないのです。
コキ小学校